売上向上の施策について

経営改善

思うように売上が伸びない、伸びないどころか売上が減少傾向にあり業績が悪化してしまった、何か効果的な売上向上の施策はないか、とお悩みの方は、まずは売上が減少している原因を突き止めることからお考え下さい。
現状を把握し、売上減少の要因を突き止め、どこに問題があるのかといった課題を明確にしてから、効果的な対策を実施することで売上向上につながります。
ここでは、現状把握の手法、経営環境把握の手法、売上向上の施策について、順を追ってご説明いたします。

現状把握の手法について

現状把握の手法としては、主に「商圏分析」「競合分析」「販売分析」の3つがあります。

「商圏分析」

具体的に商圏分析を行う前に、自社の業種が商圏(顧客を吸引できるエリア)の影響を受けやすい業種であるか否かを確認する必要があります。
商圏の影響を全く受けない業種(差別化要素の大きい専門販売業など)においては、そもそも商圏分析を行うメリットがありませんので、ここでは商圏の影響を受けやすい業種を前提としてご説明いたします。

商圏を把握することで、効果的にチラシ頒布やポスティングを行うことができるようになります。
何も考えずにとりあえず店舗から半径1㎞以内にチラシを頒布するといったやり方では、効果的に売上向上につなげることができません。
商圏分析を行い、重点的に販売促進を行う地域を明確したうえでチラシ頒布やポスティングを行うことで、売上向上につなげることができます。
それでは、具体的に商圏を把握するための手法として、商圏強度(人数)と商圏内シェア(金額)の2つをご説明いたします。

商圏強度

商圏強度とは、エリアごとの人口・顧客数といった、「人数」に着目して商圏を把握する手法になります。
商圏強度=顧客数の構成比÷人口の構成比

商圏強度の数値が大きいエリアほど、顧客を吸引できる力が強いエリアということになります。
顧客の構成比については、顧客台帳により顧客の住所から把握することができます。
人口の構成比については、市区町村のホームページで把握することができます。

商圏内シェア

商圏内シェアとは、エリアごとの消費購買力・自店の売上高といった、「金額」に着目して商圏を把握する手法になります。
商圏内シェア=自店の売上高÷商圏内消費購買力
商圏内シェアと商圏内消費購買力の2つの要素から、重点的に販売促進を行うべき地域かそうでないかを検討します。
商圏内消費購買力については、総務省家計調査データに基づき、品目別の1人当たり平均消費支出額を把握し、その金額に商圏内人口を乗ずることで算出することができます。

「競合分析」

売上向上のためには、顧客の立場に寄り添い、顧客が必要とする商品・サービスを提供する必要があります。
そして、顧客のニーズ、顧客の購買行動を把握するためには、競合店を知ることが必要不可欠となります。
競合店を知るためには、競合店のホームページを見るだけでなく、競合店の様子を実際に見に行ったり、競合店の商品・サービスの提供を受けてみたりといった実地調査が必要と考えます。
実地調査を行う場合には、調査項目を事前に明確にし、調査結果を自店との比較一覧の形で表にまとめ、定期的に競合店の状況を確認するようにします。
調査項目の具体例としては、次の項目が考えられます。

  • 基本情報(名称・住所・営業時間・定休日・企業規模・店舗形態など)
  • 立地(誘引施設・交通機関など)
  • 店頭(外観の訴求・店頭活用・店への入りやすさ・駐車場や駐輪場の台数など)
  • 売場(売場面積・売場構成・陳列・通路幅・照明・演出・カートの有無・トイレの清潔感など)
  • 商品(品揃え・価格・品質・鮮度・主力商品・目玉商品・少量対応など)
  • 人材(従業員体制・接客・人員・応対・表情・声だし・商品説明・制服・身だしなみなど)
  • 販売促進・サービス(POPの見やすさ・工夫・試食・試用品・チラシ・ポイントカードなど)
  • 客層(利用者の性別・年齢層・服装・所得・来店手段・人数構成など)

「販売分析」

これまでの販売データを分析することで、売上向上に注力すべき繁忙期や、売れ筋の商品・サービス、取引先ごとの粗利益率を把握することができます。
それでは、具体的に販売分析のための手法として、季節指数、ABC分析、マージンミックスの3つをご説明いたします。

季節指数

過去3年間の月別売上高データを基に、季節指数を算出し、繁忙期と閑散期を確認します。
閑散期はそもそもの需要がないことが考えられるため、売上向上の施策を講じてもなかなか結果には結びつきません。
繁忙期で確実に売上を確保できているかを確認し、売上が不十分であれば、繁忙期の売上向上に注力するようにします。

ABC分析

商品・サービスごとの販売データを基に、売上構成比を確認し、それぞれの商品・サービスをAランク(売り場の顔)、Bランク(Aランクに育成か現状維持)、Cランク(販売促進か数量減少・廃番)にランク付けします。大きな分類でABC分析をしてしまうと経営判断に誤りが生じやすいため、基本的には個々の商品・サービスでABC分析を行うようにします。

マージンミックス

取引先ごとの売上構成比と粗利益率を掛け合わせて、相乗積を算出します。
売上構成比だけ高くても粗利益率が低ければ、その取引先は利益にあまり貢献していないことになります。
一方、粗利益率だけ高くてもあまり売れなければ、やはりその取引先は利益にあまり貢献していないことになります。
そこで売上構成比と粗利益率の2つの要素を掛け合わせることで、どの取引先に生産性があるのかを把握することができます。
また、相乗積を活用することで、特定の取引先の粗利益率を改善した場合に全体の粗利益率がどのように変動するのかについても把握することができます。

経営環境把握の手法について

経営環境把握の手法としては、主に「PEST分析」「3C分析」「スウォット分析」の3つがあります。

「PEST分析」

マクロ環境分析とは、地域経済等の環境が変化した場合に、自社の業績等にどのような影響を及ぼすことになるのかを認識することをいいます。
このマクロ環境は自社だけでなく、競合他社を含めた市場全体に影響を与える要因となるものであり、コントロール不能であるため、事前に分析し、自社に与える影響について考えておく必要があります。
マクロ環境分析の主な手法としては、PEST分析があります。
PEST分析とは、マクロ環境を①政治的要因、②経済的要因、③社会的要因、④技術的要因の4つの視点から外部環境を網羅的に把握する手法になります。
具体的に中小企業に与える影響としては、次のように考えられます。

①政治的要因

法的規制や税制等が政治的要因となり、例えば減税による需要の先食いなどの影響が生じることが考えらます。

②経済的要因

金利や景気動向が経済的要因となり、例えば輸入材料の高騰などの影響が生じることが考えられます。

③社会的要因

人口統計やライフスタイル等が社会的要因となり、例えば海外市場へシフトしていくなどの影響が生じることが考えられます。

④技術的要因

記述革新やIT環境等が技術的要因となり、例えば他社との連携などの影響が生じることが考えられます。

「3C分析」

3C分析とは、①市場・顧客、②競合他社、③自社の3つの視点から、製品・サービスの差別化や競争力の維持などの経営課題を分析することをいいます。

①市場・顧客

市場や顧客がどのようなニーズをもっており、どのような視点で、競合他社ではなく自社を選択しているのかを把握します。

②競合他社

自社の競合となる企業について、強み・弱み、品ぞろえ、営業戦略、人材、組織等における特徴を把握します。

③自社

内部環境分析によって、自社の強み・弱み、付加価値、採算性を分析し、自社製品・サービスにおける差別化を把握します。

「スウォット分析」

スウォット分析とは、まず環境分析を内部と外部に分けて行い、そのうえで、「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの視点から、自社独自の経営状況を分析する方法になります。
このスウォット分析を行うことにより、経営課題を把握し、改善に向けた具体的な戦略を立案できるようになります。

売上向上の施策について

現状把握、経営環境把握を行うことで、誰にどんな商品・サービスをどのようにして提供すればよいのかが見えてきたと思います。
ここでは、より具体的に新規客数・新規取引先数を向上させるための手法、既存客の来店頻度を向上させるための手法、客単価を向上させるための手法についてご説明いたします。

新規客数・新規取引先数を向上させるための手法

  • チラシの活用
  • メディアの活用
  • WEBの活用
  • 催事への出店
  • 展示会への出展
  • 看板等の店舗施設による訴求

既存客の来店頻度を向上させるための手法

  • 品揃えの工夫
  • 来店サイクルに合わせた商品訴求
  • 会員カード・ポイントカードによる囲い込み
  • DMの活用
  • イベントによる販売促進

客単価を向上させるための手法

  • POPの工夫(器を丼からお重に変更するだけで単価を上げることができる)
  • まとめ買いによるお得感の訴求
  • ついで買い商品・サービスの訴求

最後に

弊所は、お客様と共に悩み、考え、お客様の成長と発展に貢献できる経営パートナーとしてのサービスをご提供いたします。
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本記事を掲載するにあたって、情報の正確性について細心の注意を払っておりますが、その内容を保証するものではなく、何らの責任を負うものではありません。
必ずしも内容の全部を表現したものではないため、実務における判断を行う際は、必ず専門家にご相談ください。

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