試験研究費の税額控除について

法人

試験研究を行った場合において、一定の要件を満たす場合には、試験研究費の額に一定の割合を乗じて計算した金額を法人税額から税額控除することが認められます。(措42の4)
ここでは、試験研究費に含まれる人件費について、「専ら従事する」ことの意義についてご説明いたします。

専ら従事するとは?

試験研究を行った場合の法人税額の特別控除について、要素の一つである「試験研究費の額」については、租税特別措置法において次のように規定されています。

(試験研究を行つた場合の法人税額の特別控除)
租税特別措置法
第四十二条の四 青色申告書を提出する法人(人格のない社団等を含む。以下この章において同じ。)の各事業年度(解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)において、試験研究費の額がある場合には、当該法人の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額から、当該事業年度の試験研究費の額に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める割合(当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、当該各号に定める割合が百分の十を超えるときは百分の十とする。)を乗じて計算した金額(以下この項において「税額控除限度額」という。)を控除する。この場合において、当該税額控除限度額が、控除上限額(当該法人の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額の百分の二十五に相当する金額をいう。)を超えるときは、その控除を受ける金額は、当該控除上限額を限度とする。
19 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 試験研究費の額 次に掲げる金額の合計額(当該金額に係る費用に充てるため他の者(当該法人が外国法人である場合の法人税法第百三十八条第一項第一号に規定する本店等を含む。)から支払を受ける金額がある場合には、当該金額を控除した金額)をいう。
イ 次に掲げる費用の額(法人税法第二十二条第三項第一号に掲げる額に該当するものを除く。)で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの
(1) 製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究(新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行うものに限る。)のために要する費用(研究開発費として損金経理をした金額のうち、ロに規定する固定資産の取得に要した金額とされるべき費用の額又はロに規定する繰延資産となる費用の額がある場合における当該固定資産又は繰延資産の償却費、除却による損失及び譲渡による損失を除く。(2)において同じ。)で政令で定めるもの

上記、「政令で定めるもの」については、措置法施行令において次のように規定されています。

(試験研究を行つた場合の法人税額の特別控除)
措置法施行令
第二十七条の四 
5 法第四十二条の四第十九項第一号イ(1)に規定する政令で定めるものは、同号イ(1)に規定する費用で次に掲げるものとする。
一 その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門的知識をもつて当該試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限る。)及び経費

つまり、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の適用を受けるためには、試験研究費である人件費については、「専門的知識をもって当該試験研究の業務に専ら従事する者に係るもの」であることが前提条件となります。
そして、この「専ら従事」については、その事業年度を通して試験研究業務に従事している者に限定されるのではなく、研究プロジェクトの全期間中従事する者も「専ら従事」に該当することとされています。
この点については、国税庁の文書回答事例「試験研究費税額控除制度におけるリサーチ・アドミニストレーター(URA)の人件費の取扱いについて」に記載があります。

最後に

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