課税売上割合に準ずる割合について

消費税

仕入れに係る消費税額の計算をする際に、個別対応方式による場合には、税務署長の承認を受けることにより、課税売上割合に代えて、課税売上割合に準ずる割合を用いることができます。(消30Ⅲ)
ここでは、課税売上割合に準ずる割合の承認手続き、土地の譲渡があった場合の取扱いについてご説明いたします。

課税売上割合に準ずる割合とは

課税売上割合に準ずる割合については、消費税法基本通達において次のように記載されています。

(課税売上割合に準ずる割合)
11-5-7 法第30条第3項《課税売上割合に準ずる割合》に規定する課税売上割合に準ずる割合(以下11-5-9までにおいて「課税売上割合に準ずる割合」という。)とは、使用人の数又は従事日数の割合、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合その他課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものの性質に応ずる合理的な基準により算出した割合をいう。

また、この課税売上割合に準ずる割合については、事業の種類の異なるごと、費用の種類の異なるごと、事業場の単位ごとにそれぞれ異なる割合を用いることが認められます。
この点については、消費税法基本通達において次のように記載されています。

(課税売上割合に準ずる割合の適用範囲)
11-5-8 課税売上割合に準ずる割合の適用に当たっては、その事業者が行う事業の全部について同一の割合を適用する必要はなく、例えば、次の方法によることもできるのであるから留意する。
 ただし、この場合には、適用すべき課税売上割合に準ずる割合の全てについて税務署長の承認を受けなければならないのであるから留意する。
(1) 当該事業者の営む事業の種類の異なるごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法
(2) 当該事業者の事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類の異なるごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法
(3) 当該事業者の事業に係る事業場の単位ごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法

課税売上割合に準ずる割合の承認申請手続きについて

課税売上割合に準ずる割合の承認を受けようとする事業者は、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を税務署長に提出し、承認を受けることができれば、その承認を受けた日の属する課税期間から課税売上割合に準ずる割合を用いて消費税を計算することが認められます。(消令47Ⅰ、Ⅴ) 
ただし、課税売上割合に準ずる割合の適用を受けようとする課税期間の末日までに申請書を提出し、同日の翌日から同日以後1月を経過する日までの間に税務署長の承認を受けた場合は、当該課税期間の末日においてその承認があったものとみなされます。(消令47Ⅵ)
なお、承認を受けた課税売上割合に準ずる割合の適用をやめる場合には、「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を、取りやめようとする課税期間の末日までに税務署長に提出する必要があります。

土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認について

土地の譲渡が単発のものであり、かつ、当該土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がないと認められる場合に限り、一定の割合により課税売上割合に準ずる割合の承認を受けることが認められています。
この点については、国税庁の質疑応答事例において次のように記載されています。

【質疑応答事例】たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認
土地の譲渡が単発のものであり、かつ、当該土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がないと認められる場合に限り、次の1又は2の割合のいずれか低い割合により課税売上割合に準ずる割合の承認を与えることとして差し支えないこととします。
1 当該土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合(令533《通算課税売上割合の計算方法》に規定する計算方法により計算した割合をいう。)
2 当該土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合
(注)
1 土地の譲渡がなかったとした場合に、事業の実態に変動がないと認められる場合とは、事業者の営業の実態に変動がなく、かつ、過去3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以内である場合とします。
2 課税売上割合に準ずる割合の適用を受ける場合、納税地の所轄税務署長の承認を受けた日の属する課税期間から適用されます。
 承認審査には一定の期間が必要となりますので、時間的余裕をもって「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出してください。
 なお、適用を受けようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日以後1月を経過する日までに納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合、当該承認申請書を提出した日の属する課税期間から適用されます。
3 この課税売上割合に準ずる割合の承認は、たまたま土地の譲渡があった場合に行うものですから、当該課税期間において適用したときは、翌課税期間において「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を提出してください。なお、提出がない場合には、承認を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以降の承認を取り消すものとします。

この取扱いは、あくまでも、たまたま土地の譲渡があった場合に限定されるものであり、たまたま有価証券の譲渡があったとしても、上記の取扱いは適用されないものと考えます。
その理由としては、有価証券の譲渡については、課税売上割合の計算において分母に算入される資産の譲渡等の対価の額が、有価証券の譲渡対価の5%相当額とされており、土地の譲渡のケースとは異なる処理となっているためです。(消令48Ⅴ)

最後に

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