不動産所得における収入の計上時期について

個人

役員社宅は節税のメリットがあるため、社長個人が所有している物件を会社が社宅として借り上げるケースがあります。
この場合、会社側において短期前払費用の適用(法人税法基本通達2-2-14)を受け、社宅家賃の支払を1年分まとめて前払とする契約がなされることがあります。
今回は、翌年1年分の家賃を年末までに前払する契約を締結した場合における、社長個人の不動産所得の取扱いのうち、「収入の計上時期」「必要経費の計上時期」についてご説明いたします。

不動産所得の収入の計上時期

不動産所得の収入の計上時期については、所得税法基本通達において次のように記載されています。

(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-5 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1) 契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)

つまり、不動産所得の収入の計上時期については、原則として、貸付期間との対応ではなく、契約による家賃の支払日によることになります。
ただし、例外として、帳簿書類の備え付け、継続的な前受未収の経理など一定の要件を満たす場合には、貸付期間に対応する家賃を不動産所得の収入として計上することが認められます。(個別通達S48.11.6)

不動産所得の必要経費の計上時期

不動産所得の必要経費の計上時期については、償却費を除いて、原則としてその年において債務の確定しているものに限ることと規定されており(所37Ⅰ)、債務確定の時期によることになります。
この債務確定の判定については、所得税法基本通達において次のように記載されています。

(必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定)
37-2 法第37条の規定によりその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき償却費以外の費用で、その年において債務が確定しているものとは、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。
(1) その年12月31日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項において同じ。)までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) その年12月31日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) その年12月31日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

ただし、例外として、翌年以後の期間に対応する家賃を本年の不動産所得の収入に計上した場合には、たとえ債務が確定していない翌年以後の貸付期間に対応する必要経費であっても、見積計上によって本年の必要経費として計上することが認められます。(所基通37-3前段)
また、翌年において確定した必要経費の金額と見積額とに差異が生じた場合でも、遡って修正申告等をすることなく、必要経費の金額が確定した年分で調整申告することが認められます。(所基通37-3後段)

最後に

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