企業型確定拠出年金と役員報酬の取扱いについて

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確定拠出年金は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度で、会社が掛金を拠出するものを企業型確定拠出年金といいます。
今回は、企業型確定拠出年金を導入した場合のメリットと役員報酬の取扱いについてご説明いたします。

企業型確定拠出年金のメリット

企業型確定拠出年金については、運用リスクを役員や従業員が負うことになりますが、運用先を定期預金として貯蓄することを選択する場合には、役員や従業員にとっては貯金と同じことになります。
そして、企業が拠出する掛金については、最終的には役員や従業員の貯金になり、実質的には役員報酬や給与に相当するものであるにもかかわらず、掛金相当額については所得税や社会保険料がかからず、節約できる点がメリットとなります。(所令64)
なお、将来において確定拠出年金を受け取る時点では、一時金で受け取る場合は退職所得、年金で受け取る場合は雑所得(公的年金等)として課税対象となりますが、退職所得控除や公的年金等控除の優遇措置があり、掛金を拠出する時点での所得税と社会保険料の節約効果を考えると、基本的には確定拠出年金を導入したほうがメリットが大きいものと考えます。

企業型確定拠出年金と役員報酬の取扱いについて

役員に対する確定拠出年金の掛金について、これまでの役員報酬から控除する場合には、定期同額給与について注意する必要があります。
役員報酬については、毎月支給される役員給与が同額である場合に、費用とすることが認められます。(法34Ⅰ)
そして定期同額か否かの判定対象となる役員給与については、所得税が課税される部分で判定することとされています。(法人税法基本通達9-2-10)

(給与としない経済的な利益)
9-2-10 法人が役員等に対し9-2-9に掲げる経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、当該法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として取り扱わないものとする。

そのため、確定拠出年金の掛金を役員報酬から控除する場合には、役員報酬を減額した取扱いとなります。
この場合、確定拠出年金の導入は、「臨時改定事由」「業績悪化改定事由」(法令69Ⅴ)に該当しないため、事業年度開始から3ヶ月経過後に確定拠出年金を導入する場合には、定期同額給与の要件を満たさないことになります。導入の時期を見送るか、掛金を役員報酬から控除するのではなく、従来の役員報酬に上乗せする形で掛金を拠出するかの対応が必要と考えます。

最後に

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