部品の減価償却について

法人

製造業においては、工場に製造ラインを設け、製造ラインにおいて不具合が生じた部品があれば直ちに部品の交換ができるように、常に補修用部品をストックしていることがあります。
今回は、この補修用部品の減価償却の取扱いについてご説明いたします。

30万円未満の部品は即時償却できる?

減価償却を検討する上で重要となるのは、「新規取得資産」か「既存資産に対する支出」かの区分になります。

「新規取得資産」に該当するのであれば、中小企業者の少額減価償却資産の特例(措67の5)の適用により、30万円未満のものは即時償却が認められます。

一方、補修用部品のように、「既存資産に対する支出」については、中小企業者の少額減価償却資産の特例の対象となりません。
補修用部品が使用可能期間延長や既存資産の価値増加につながるものである場合には資本的支出に該当し(法令132)、この場合には、既存資産と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに取得したものとして減価償却を行うことになります。(法令55)

なお、資本的支出に該当するものについては、原則として、少額減価償却資産の特例(措67の5)の適用はありません。その理由としては、資本的支出について新たに取得したものとして取り扱うのは、あくまでも法人税法における償却限度額の計算上の単なる取得価額の区分に関する特例にすぎないからと考えられています。
しかし、ソフトウェアのバージョンアップなど、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合には、少額減価償却資産の特例の適用が認められます。(措通67の5-3)

【参考】法人税法基本通達2-2-15

消耗品費等)
2-2-15 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

資本的支出に該当しない補修用部品については、継続適用を条件として、各事業年度においておおむね一定数量を取得し、かつ経常的に消費する部品については、実際に消費した時点ではなく、部品を取得した時点で費用処理することが認められます。

最後に

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