セールアンドリースバックの税務について

法人

会社の資金繰りを補填するために、会社の代表役員から資金を借り受けるケースがあります。
この役員借入金については、精算されずにそのままとなっていることが多く、役員の相続時には、会社に対する貸付金として相続財産に該当し、相続税の対象となります。
そこで、役員借入金を精算する方法として、会社所有の不動産で代物弁済し、その後に会社が役員から不動産を借りるといった手法が考えられます。
今回は、セールアンドリースバックを行った場合の税務の取扱いについてご説明いたします。

代物弁済による借入金の精算について

役員から運転資金の補填を受け、役員借入金がそのままとなっている場合において、相続税対策として、この役員借入金を会社所有の不動産で代物弁済するといった手法があります。
この手法を用いることで、貸付金という債権が賃貸用の不動産に代わり、相続税評価額を下げることにつながります。
また、この不動産を役員となっている代表役員の子が相続する場合には、小規模宅地の特例(特定同族会社事業用宅地)の適用を受けることで更なる相続税の節税につながります。(措69の4Ⅲ③、措規23の2Ⅴ)

セールアンドリースバックの税務について

役員からの借入金を会社所有の不動産で代物弁済し、その後にその不動産を会社が借りる場合には、セールアンドリースバックに該当するか否かについて検討が必要となります。
セールアンドリースバックに該当する場合には、税務においては、資産の売買及び賃貸の一連の取引については単なる金銭の貸付けがあったものとされ、資産の譲渡損益の計上は認められません。
セールアンドリースバックに該当する要件としては、「中途解約禁止」と「フルペイアウト」の2つになります。(法64の2Ⅱ、Ⅲ)
今回の資産の譲渡において、譲渡損益を認識するのであれば、不動産賃貸借契約書において、中途解約ができる旨を明記し、賃貸物件のコストを賃貸人が負担する旨を明記しておく必要があるものと考えます。

最後に

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