源泉徴収漏れについて

法人

原稿料、挿絵料、デザイン料、講演料、通訳料など、フリーランスとして働く人に仕事を依頼することも多いのではないでしょうか?
会社がフリーランスとして働く人にこれらの報酬・料金を支払う場合には、源泉徴収義務が発生します。
そして、税務調査においては、これらの源泉徴収漏れがないかについてチェックされます。
今回は、源泉徴収漏れがあった場合の法人税の取扱いについてご説明いたします。

源泉徴収義務について

会社が原稿料、挿絵料、デザイン料、講演料、通訳料などの報酬・料金を支払う場合には、その支払いの際、源泉所得税の納付義務が発生します。
このことは、所得税法204条において次のように規定されています。

(源泉徴収義務)
第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金

源泉徴収漏れがあった場合の対応

本来であれば、源泉徴収漏れがあった場合には、外注先のフリーランスの方から徴収して、国に納付することになりますが、単発の取引などで漏れていた源泉徴収を後になって徴収することは現実的ではないケースが大半です。そのため、源泉徴収漏れの分については会社が負担し、そもそも外注先のフリーランスの方からの徴収を断念することが考えられます。
この場合の法人税の取扱いはどのようになるのでしょうか?
この点について、法人税法基本通達において次のように記載されています。

(強制徴収等に係る源泉所得税)
9-5-3 法人がその支払う配当、給料等について源泉徴収に係る所得税を納付しなかったことにより、所得税法第221条《源泉徴収に係る所得税の徴収》の規定により所得税を徴収された場合において、その徴収された所得税を租税公課等として損金経理をしたときは、その徴収の基礎となった配当、給料等の区分に応じてその追加支払がされたものとする。
 法人がその配当、給料等について所得税を源泉徴収しないでその所得税を納付した場合におけるその納付した所得税についても、同様とする。
(注) 法人がその徴収され又は納付した所得税を仮払金等として経理し求償することとしている場合には、その経理を認める。

つまり、源泉徴収漏れの分については、追加の外注費として計上することが認められます。
なお、この場合には、追加払いによって増額した外注費に対する源泉徴収税額の納税義務も発生するため、注意が必要となります。

最後に

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