出向役員の役員報酬の取扱いについて

法人

まず前提となる出向について確認いたします。
出向には、在籍出向と転籍出向の2種類があります。
在籍出向とは、出向元との間の雇用関係が終了することなく出向先で業務に従事することをいいます。
転籍出向とは、出向元との間の雇用関係を終了させたうえで、移籍先で業務に従事することをいいます。
転籍出向の場合には、移籍先だけでの処理で完結し、通常の取扱いと何ら変わらないため、ここでは、在籍出向を前提としてご説明いたします。

使用人を在籍出向させ、出向先において役員となっている場合(出向役員)において、次のいずれにも該当するときは、出向先法人が支出する給与負担金は出向者に対する給与として、
役員給与の損金不算入の規定(法人税法34)が適用されます。(法人税法基本通達9-2-46)

  1. その役員に係る給与負担金の額につきその役員に対する給与として出向先法人の株主総会、社員総会またはこれらに準ずるものの決議がされていること。
  2. 出向契約等においてその出向者に係る出向期間および給与負担金の額があらかじめ定められていること。

なお、役員給与の損金不算入の規定に基づき、事前確定届出給与の届出を行う場合には、その届出は出向先法人が提出することとされています。

また、出向先法人の負担額が、出向元法人の出向者に対する支給額を超える場合には、その超える部分の金額は給与負担金ではないものとされ、原則として、出向先法人から出向元法人への寄附金として取り扱われることになります。

寄附金として取り扱われた場合においては、出向元法人と出向先法人との間に法人による完全支配関係があるときは、グループ法人税制が適用されます。
寄附した側においては全額損金不算入となり、寄付を受けた側においては全額益金不算入となります。また、寄附修正事由が生じた場合の株主による対象株式の簿価の調整が必要となります。

【参考】

出向者の退職給与負担金の取扱いについて
出向先法人が退職給与負担金を出向元法人に支出して精算する方法としては、次の3つが考えられます。

  1. 出向元法人に復帰した時に精算
  2. あらかじめ定めた負担区分に基づき合理的に計算された金額を定期的に支出して精算(法人税法基本通達9-2-48)
  3. 出向元法人を退職した時に精算

出向先法人が支出する退職給与負担金については、出向先法人では支出時に損金となり、出向元法人では受取時に益金となります。
そのため、(1)と(2)の方法による場合には、出向元法人では益金が前倒しで計上されることになり、税金の前払を強いられることになります。
なお、(3)の方法による場合において、たとえ出向先法人において引き続き役員または使用人として勤務するときであっても、出向先法人が退職給与負担金を支出した時点で損金算入となります。(法人税法基本通達9-2-49)

最後に

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