登記懈怠による過料は損金になるの?

法人

役員の任期満了など、登記事項に変更が生じた場合には、2週間以内に変更登記することが義務付けられています。(会社法915Ⅰ)
そして、役員の任期が切れていることに気づかず、役員変更登記を怠った場合には、代表取締役に対し100万円以下の過料に処する旨、規定されています。(会社法976①)
実際に過料に処せられた場合には、代表取締役の自宅へ裁判所から過料の決定通知書が送付されることになります。
過料の決定がなされるか否かについては、明確な基準はなく、また、実際の過料の金額は1年間の放置で約3万円が相場とされているようです。
今回は、代表取締役個人に課せられた過料を法人が負担した場合における法人税の取扱いについてご説明いたします。

登記懈怠による過料は損金不算入

法人が納付する罰金及び科料並びに過料については、損金の額に算入しないことと規定されています。(法人税法55Ⅴ①)
そして、今回の役員変更登記の懈怠による過料は、法人ではなく、代表取締役個人に対して課せられているため、法人が肩代わりして代表取締役の過料を負担した場合の法人税の取扱いが問題となります。
この点については、法人税法基本通達9-5-12において次のように記載されています。
(役員等に対する罰科金等)
9-5-12 法人がその役員又は使用人に対して課された罰金若しくは科料、過料又は交通反則金を負担した場合において、その罰金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたものであるときは法人の損金の額に算入しないものとし、その他のものであるときはその役員又は使用人に対する給与とする。
つまり、罰金等の名義人が誰かではなく、罰金等と法人の業務関連性に着目し、業務関連性がある場合には、法人自体に課せられた罰金等と同様に取り扱い、業務関連性がない場合には、役員給与(損金不算入)として源泉所得税の徴収が必要となります。
今回の役員変更の登記懈怠による過料は、法人の業務関連性があると考えられるため、役員給与には該当せず、法人自体の過料として損金不算入として処理することになります。

最後に

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