太陽光発電の売電におけるインボイスの取扱いについて

消費税

会社員が自宅に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を電力会社に売却する場合におけるインボイスの取扱いについては、余剰売電と全量売電に分けて考える必要があります。
以下では、余剰売電と全量売電における消費税の取扱い、インボイスの取扱いについてご説明いたします。

余剰売電における消費税の取扱い

会社員が生活の用に供するために設置した太陽光発電設備から生じた電気のうち、使い切れずに余った余剰電力を電力会社に売却した場合には、消費税の課税対象となりません。
消費税の課税対象については、消費税法において次のように規定されています。

(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。

この規定における「事業として」については、所得税法基本通達において次のように記載されています。対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう

5-1-1 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう。(平23課消1-35により改正)
(注)
1 個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は、「事業として」には該当しない。
2 法人が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、その全てが、「事業として」に該当する。

よって、事業者ではない会社員が生活の用に供するために設置した太陽光発電設備から生じた電気の売却は、「事業として」に該当しないため、消費税法に規定する「資産の譲渡等」に該当しないことから、消費税の課税対象とならないことになります。

全量売電における消費税の取扱い

会社員が自宅で行う太陽光発電であっても、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、、その送電された電気の全量について電力会社に売却することができます。
この全量売電については、電力会社との間で電気の全量を売却する契約を締結し、その発電した電気を生活の用に供することなく数年間にわたって電力会社に売却するものであるため、全量売電は「事業として」に該当し、消費税法に規定する「資産の譲渡等」に該当することから、消費税の課税対象となります。

全量売電におけるインボイスの取扱い

全量売電を行う認定事業者が消費税の課税事業者である場合には、インボイス登録をし、登録番号を買取義務者へ通知する必要があります。
一方、全量売電を行う者が消費税の免税事業者である場合には、インボイス登録がなくても、現行の買取価格が変更されることはないものとされているため、特段の対応は必要ないものと考えます。

最後に

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