配偶者居住権で節税?

相続

配偶者居住権は、配偶者の居住及び老後生活の安定を図ることを目的として、被相続人の配偶者が相続開始の時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用及び収益を認めることを内容とする権利で、民法改正により創設されました。
この配偶者居住権を設定することで、二次相続において節税につながる理由についてご説明いたします。

配偶者居住権が二次相続対策になる理由とは?

配偶者居住権を設定することで、相続財産である居住用不動産を「居住権」と「所有権」に分離することができます。
そして「居住権」を配偶者、「所有権」を子が相続した場合には、「配偶者居住権」「所有権」ともに相続税の課税対象となりますが、配偶者の税額軽減(1億6,000万円又は法定相続分)により、ほとんどのケースにおいて「配偶者居住権」については相続税の負担がないものと考えられます。
その後、配偶者が死亡(二次相続)すると、民法の規定(民法1036、597Ⅲ)により「配偶者居住権」が消滅し、子は自ら使用収益することが可能となります。
このことにより、子が受ける利益に対しては、みなし課税は行わないこととされています。(相続税法基本通達9-13の2注)
つまり、配偶者居住権を設定することで、結果的に相続財産のうち居住用不動産の評価額から配偶者居住権相当額を減額させて子に相続させることができます。

配偶者居住権のデメリット

配偶者居住権を設定した後に、対象不動産を売却する場合には、配偶者居住権を放棄又は合意解除により消滅させる必要があります。
この場合、配偶者と子との間で対価の支払いがない場合には、配偶者居住権相当額について贈与税が課せられることになります。
配偶者居住権を設定する場合には、贈与税のリスクについて考慮する必要があります。

配偶者居住権と小規模宅地特例について

特定居住用宅地に対する小規模宅地特例(家なき子特例)については、生計別の別居親族が取得する場合には、配偶者がいないことが要件となっているため、
一次相続ではなく、二次相続での特例と考えることができます。
そのため、配偶者居住権を設定し、所有権を子が取得する場合には、家なき子特例が使えなくなります。
配偶者居住権を設定する場合には、二次相続まで想定した相続税のシミュレーションが必要と考えます。

最後に

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