美術品の減価償却について

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減価償却資産の範囲として、「時の経過によりその価値の減少しないもの」は減価償却資産の範囲から除かれています。(法2㉓、法令13、所2Ⅰ⑲、所令6)
今回は、「時の経過により価値の減少しないもの」の具体例として、美術品の減価償却の取扱いについてご説明いたします。

美術品等の減価償却資産の判定について

応接スペースやロビーに壁面彫刻を設置するケースがあります。
この設置した美術品については、減価償却資産として減価償却費を計上することができるのでしょうか?
この点については、法人税法基本通達7-1-1、所得税法基本通達2-14において次のように記載されています。

(美術品等についての減価償却資産の判定)
7-1-1 「時の経過によりその価値の減少しない資産」は減価償却資産に該当しないこととされているが、次に掲げる美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」と取り扱う。
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) (1)以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。)
(注)
1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として法人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。
2 取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く。)は減価償却資産と取り扱う。

つまり、形式的な基準として、取得価額100万円という金額上の基準があり、そのうえで、取得価額100万円以上であっても、無料公開で不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用のもので、移設や他の用途への転用を前提としておらず、設置時王匡や使用状況から美術品としての市場価値が見込まれないものについては、減価償却資産に該当することとされています。
金額だけで判定するのではなく、あくまでも実質での判定が必要となります。

最後に

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