租税条約における源泉徴収の取扱いについて

法人

韓国へ出張の際にレンタカーを借りた場合に、現地の会社に支払うレンタカー代における源泉徴収の取扱いについてご説明いたします。

非居住者に対する課税について

非居住者に対する課税の範囲については、国内源泉所得に限ることと規定されています。(所5Ⅱ①)
国内源泉所得については、所得税法161条に規定があり、車両の使用料の対価は国内源泉所得に該当することになります。(所161Ⅰ、所令284Ⅰ)
この点について、租税条約に異なる定めがある場合には、租税条約が優先適用されることになります。
そこで日韓租税条約について確認いたします。
使用料についての取り決めは、日韓租税条約12条3項4項において次のように規定されています。

「使用料とは、産業上、商業上若しくは学術上の設備の使用の対価として受領する料金をいう。」
「使用料はその支払者が一方の締約国の居住者である場合には、当該一方の締約国において生じたものとされる。」

まず、レンタカー代がここでの使用料に該当するかについて検討が必要となります。
3項においては、「設備」という翻訳がなされていますが、ここではいわゆる設備という概念よりも適用範囲を広くとらえ、車両も含まれるものと考えられます。
次に、4項において債務者主義が採用されているため、レンタカー代は国内源泉所得に該当することになります。

租税条約における源泉徴収の取扱い

租税条約に定めるところにより国内源泉所得に該当するものについては、読み替え規定により国内法が適用されます。(所162Ⅰ)
具体的には、韓国での現地の会社に支払うレンタカー代については、その支払いの際、所得税を徴収し、これを国に納付する義務が発生します。(所212Ⅰ、161⑪ハ)
また、源泉徴収税率については、国内法であれば20.42%となりますが、日韓租税条約12条2項において、「当該使用料の額の10%を超えないものとする。」と規定されているため、10%となります。
なお、租税条約に基づき、源泉徴収税率の軽減の適用を受けるためには、レンタカー代の支払を受ける日の前日までに、「租税条約に関する届出書」を税務署長に提出する必要があります。(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令2Ⅰ)
「租税条約に関する届出書」の提出を失念した場合には、一定の手続きを行うことにより、還付を請求することができます。(実特法省令2Ⅷ)

最後に

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