非居住者による株式譲渡について

個人

個人に対する課税については、居住者と非居住者に分けて、課税の範囲、課税方法が規定されています。
そして、非居住者に対する課税の範囲については、国内源泉所得に限ることとされています。
ここでは、国内源泉所得のうち、内国法人の発行する株式の譲渡についてご説明いたします。

非居住者に対する課税の範囲

国内源泉所得となる株式の譲渡とは?
国内源泉所得については、所得税法161条に規定があり、内国法人の発行する株式の譲渡については、次のように規定されています。
(国内源泉所得)
第百六十一条 この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。
三 国内にある資産の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの

(国内にある資産の譲渡により生ずる所得)
所得税法施行令第二百八十一条 法第百六十一条第一項第三号(国内源泉所得)に規定する政令で定める所得は、次に掲げる所得とする。
四 内国法人の発行する株式(株主となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権及び新株予約権の割当てを受ける権利を含む。)その他内国法人の出資者の持分(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第二百三十条第一項(特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正に伴う経過措置等)に規定する特例旧特定目的会社の出資者の持分を除く。以下この項及び第四項において「株式等」という。)の譲渡(租税特別措置法第三十七条の十第三項若しくは第四項(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)又は第三十七条の十一第三項若しくは第四項(上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)の規定によりその額及び価額の合計額が同法第三十七条の十第一項に規定する一般株式等に係る譲渡所得等又は同法第三十七条の十一第一項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる金銭及び金銭以外の資産の交付の基因となつた同法第三十七条の十第三項(第八号及び第九号に係る部分を除く。)若しくは第四項第一号から第三号まで又は第三十七条の十一第四項第一号及び第二号に規定する事由に基づく同法第三十七条の十第二項第一号から第五号までに掲げる株式等(同項第四号に掲げる受益権にあつては、公社債投資信託以外の証券投資信託の受益権及び証券投資信託以外の投資信託で公社債等運用投資信託に該当しないものの受益権に限る。)についての当該金銭の額及び当該金銭以外の資産の価額に対応する権利の移転又は消滅を含む。以下この条において同じ。)による所得で次に掲げるもの
イ 同一銘柄の内国法人の株式等の買集めをし、その所有者である地位を利用して、当該株式等をその内国法人若しくはその特殊関係者に対し、又はこれらの者若しくはその依頼する者のあつせんにより譲渡をすることによる所得
ロ 内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行うその内国法人の株式等の譲渡による所得

6 第一項第四号ロに規定する株式等の譲渡は、次に掲げる要件を満たす場合の同号ロの非居住者の当該譲渡の日の属する年(以下この項及び第九項において「譲渡年」という。)における第二号に規定する株式又は出資の譲渡に限るものとする。
一 譲渡年以前三年内のいずれかの時において、第一項第四号ロの内国法人の特殊関係株主等がその内国法人の発行済株式又は出資(次号及び次項において「発行済株式等」という。)の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額の株式又は出資(当該特殊関係株主等が第四項第三号に掲げる者である場合には、同号の組合財産であるものに限る。次号及び次項において同じ。)を所有していたこと。
二 譲渡年において、第一項第四号ロの非居住者を含む同号ロの内国法人の特殊関係株主等が最初にその内国法人の株式又は出資の譲渡をする直前のその内国法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の五以上に相当する数又は金額の株式又は出資の譲渡をしたこと。

つまり、次の保有割合要件と譲渡割合要件を満たす内国法人の発行する株式の譲渡が、国内源泉所得に該当し、非居住者に対して課税されることになります。
(1)保有割合要件
譲渡年以前3年以内のいずれかの時において、25%以上の株式を所有していたこと
(2)譲渡割合要件
譲渡年において、最初に譲渡をする直前のその内国法人の株式総数の5%以上を譲渡したこと

なお、非居住者が国内に滞在する間に行う国内にある資産の譲渡による所得については、国内源泉所得に該当する(所令281Ⅰ⑧)ため、日本への帰国の際に株式の譲渡をすると、保有割合や譲渡割合に関係なく、一律に国内源泉所得として課税対象となります。

ただし、租税条約によって国内源泉所得について上記と異なる定めがある場合には、租税条約が優先適用されることになります。

最後に

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