繰上返済における住宅ローン控除について

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新築住宅の購入に際して銀行から借入れをし、これまで住宅ローン控除の適用を受けていた方が、将来の支払利息を軽減するため、繰上返済を行うケースがあります。
今回は、繰上返済における住宅ローン控除の取扱いについてご説明いたします。

繰上返済した場合

生活余剰資金が増えたため、住宅ローンについて繰上返済を行うことがあります。
この場合、住宅ローン控除は当然に適用を受けることができるのでしょうか?
この点については、措置法基本通達において次のように記載されています。

(繰上返済等をした場合)
41-19 住宅借入金等、措置法第41条第6項の規定の適用を受ける場合の住宅借入金等(41-22において「特例住宅借入金等」という。)、認定住宅等借入金等、同条第13項の規定の適用を受ける場合の住宅借入金等(41-22において「特別特定住宅借入金等」という。)又は同条第16項の規定の適用を受ける場合の住宅借入金等(41-22において「認定特別特定住宅借入金等」という。)の金額に係る契約において、その年の翌年以後に返済等をすべきこととされている住宅借入金等の金額につき、その年に繰り上げて返済等をした場合であっても、その年12月31日における現実の住宅借入金等の金額の残高については、同条第1項、第6項、第10項、第13項又は第16項の規定の適用があるのであるが、例えば、その年の翌年以後に返済等をすべきこととされている住宅借入金等の金額の全額につき、その年に繰り上げて返済等をした場合など、当該繰上返済等により償還期間又は割賦期間が10年未満となる場合のその年についてはこれらの規定の適用はないものとする。
(注) 借入金等の借換えをした場合には、41-16の適用がある場合があることに留意する。

つまり、繰上返済をしたことによって、契約当初から数えて償還期間が10年未満となる場合には、「契約において償還期間が十年以上の割賦償還の方法により返済することとされているもの(措41Ⅰ①)」の要件を満たさないため、繰上返済をした年以降の住宅ローン控除については適用を受けることができません。

【参考】借換えにおける住宅ローン控除の取扱いについて

住宅ローンについて借換えを行った場合には、一定の要件を満たす場合に住宅ローン控除の適用を受けることができます。

一定の要件

一定の要件については、措置法基本通達において次のように記載されています。

(借入金等の借換えをした場合)
41-16 住宅の新築取得等(敷地の取得を含む。以下この項、41-20及び41-32において同じ。)に係る借入金又は債務(以下この項及び41-21において「当初の借入金等」という。)の金額を有している場合において、当該当初の借入金等を消滅させるために新たな借入金を有することとなるとき(以下41-19及び41-21において「借入金等の借換えをした場合」という。)は、当該新たな借入金が当初の借入金等を消滅させるためのものであることが明らかであり、かつ、当該新たな借入金を新築等又は増改築等のための資金に充てるものとしたならば措置法第41条第1項第1号又は第4号に規定する要件を満たしているときに限り、当該新たな借入金は同項第1号又は第4号に掲げる借入金に該当するものとする。

つまり、借換えにおける住宅ローン控除の適用を受けるための要件としては、①新たな借入金が当初の借入金を消滅させるためのものであることが明らかであること、②新たな借入金についての償還期間が10年以上であることの2つになります。ここで注意すべきは、償還期間10年以上の要件になります。当初の借入金の償還期間を合算するのではなく、新たな借入金の償還期間が10年以上か否かで判定することになります。
なお、償還期間10年未満のつなぎ融資を受けた後に、償還期間10年以上の住宅ローンに借り換えた場合にも、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
この場合であっても、住宅ローン控除を受ける年数は、居住の用に供した年から一定期間となっているため、住宅ローンの借換えによって、適用年数が延長することはありません。

借換えを行った場合の住宅ローンの年末残高

借換えによる新たな住宅ローン等が住宅借入金等特別控除の対象となる場合には、次の金額が控除の対象となる住宅ローン等の年末残高となります。(タックスアンサーNo.1233)

事例
・A=借換え直前における当初の住宅ローン等の残高
・B=借換えによる新たな住宅ローン等の借入金額(当初金額)
・C=借換えによる新たな住宅ローン等の年末残高
(1)A≧Bの場合  対象額=C
(2)A<Bの場合  対象額=C×A/B

最後に

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