短期アルバイトの源泉徴収について

個人

繁忙期の人員確保のために短期アルバイトを採用するケースがあります。
今回は、短期アルバイトに支払う給与についての源泉徴収の取扱いについてご説明いたします。

丙欄の適用者

給与に対する源泉徴収税額については、所得税法別表「給与所得の源泉徴収税額表」に定める税額と規定されています。(所185)
そして給与所得の源泉徴収税額表については、月額表と日額表があり、基本給ではなく、給与の支給形態によってどちらを使うかが決められています。
つまり日給や時給であっても、給与の支給期が毎月・毎半月・毎旬(10日ごと)・月の整数倍の期間ごとに定められている場合には、月額表を使用することになります。(所185Ⅰ①イロハニ、②イロハニ)
一方、給与の支給期が一定期間ごとに定められていない場合には、日額表を使用することになります。(所185Ⅰ①ホヘ、②ホヘ、③)
それでは、日額表の丙欄はどのような場合に適用されるのでしょうか?
この点については、所得税法及び所得税法施行令において次のように規定されています。

(賞与以外の給与等に係る徴収税額)
所得税法
第百八十五条 次条に規定する賞与以外の給与等について第百八十三条第一項(源泉徴収義務)の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号に掲げる給与等の区分に応じ当該各号に定める税額とする。
三 労働した日又は時間によつて算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与等で政令で定めるもの その給与等の金額に応じ、別表第三の丙欄に掲げる税額

(日払の給与等の意義)
所得税法施行令
第三百九条 法第百八十五条第一項第三号(賞与以外の給与等に係る徴収税額)に規定する政令で定める給与等は、日日雇い入れられる者が支払を受ける給与等(一の給与等の支払者から継続して二月をこえて支払を受ける場合におけるその二月をこえて支払を受けるものを除く。)とする。

これらの規定によると、丙欄の適用者は、①日々雇入れられる者であること、②継続して2か月を超えて支払いを受けるものでないこと、の2つが要件となっています。
しかし、これだと丙欄の適用者が日雇労働者に限定されてしまうため、適用範囲を少し広げるため、所得税法基本通達において次のように記載されています。

(日額表丙欄を適用する給与等に対する税額の計算)
185-8 法第185条第1項第3号の規定は、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払われる給与等で令第309条《日払の給与等の意義》に規定するもののほか、次に掲げる給与等についても適用があるものとする。この場合において、次に掲げる給与等を支払う際に徴収する税額は、労働した日ごとの給与等の額につき法別表第3の丙欄を適用して計算した税額の合計額となることに留意する。
(1) 日々雇い入れられる者の労働した日又は時間により算定される給与等で、その労働した日以外の日において支払われるもの(令第309条かっこ内の規定に該当するものを除く。)
(2) あらかじめ定められた雇用契約の期間が2月以内の者に支払われる給与等で、労働した日又は時間によって算定されるもの(雇用契約の期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されることとなった者に当該2月を超える部分の期間につき支払われる給与等を除く。)

つまり、短期アルバイトのように、日々雇入れられる者に該当しなくても、雇用契約の期間が2か月以内であれば、日額表の丙欄を使用することが認められます。
日額表の源泉徴収税額をみると、甲欄や乙欄よりも、丙欄を使用する方が源泉徴収税額が少額であるため、丙欄を適用できる場面では丙欄を使用することで税負担の軽減につなげることができます。

最後に

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