保険料の経理処理について(損害保険)

法人

会社が役員や従業員を対象とした生命保険や自動車保険や火災保険といった損害保険に加入することがあります。
今回は、損害保険に加入した場合の保険料の経理処理についてご説明いたします。

通常の損害保険

会社が自社所有する建物について、保険期間が3年未満又は満期返戻金がない掛捨てとなる火災保険を契約した場合には、その火災保険等に係る保険料については、保険期間の経過に応じて損金に算入することになります。(法22Ⅲ②、法基通2-2-12.9-3-9)
ただし、保険期間未経過分についても、支払った日から1年以内の保険料については、支払い時に一括して損金に算入することが認められます。(法基通2-2-14)
なお、保険の対象が賃借建物や役員・使用人の建物となっている場合には、保険料の取扱いは次のようになります。

保険の対象が賃借建物の場合(法基通9-3-10)
会社が賃借している建物(役員または使用人から賃借している建物で役員または使用人に使用させているものを除く)について、保険契約者が会社、被保険者が建物所有者となっている場合には、会社所有建物を対象とする保険と同様の取扱いとなり、保険期間の経過に応じて損金に算入することになります。
一方、保険契約者が建物所有者、被保険者が建物所有者となっている場合には、法人の負担した損害保険料は実質的には建物の賃借料の追加払いと考えられるため、建物の賃借料として取り扱うことになります。

保険の対象が役員・使用人の建物の場合(法基通9-3-11)
役員・使用人の建物について、保険契約者が会社、被保険者が役員・使用人となっている場合には、福利厚生費として取り扱うことになります。ただし、役員または特定の使用人のみを対象としている場合には給与として取り扱うことになります。(所基通36-31の7)
一方、保険契約者が役員・使用人、被保険者が役員・使用人となっている場合には、一律、給与として取り扱うことになります。

長期の損害保険

会社が自社所有する建物について、保険期間が3年以上で、かつ、満期返戻金を支払う旨の定めのある損害保険契約については、長期の損害保険として、積立保険料に相当する部分の金額については、積立金として資産計上し、その他の部分は保険期間の経過に応じて損金に算入することになります。(法基通9-3-9)
ただし、その他の部分については、保険期間未経過分についても、支払った日から1年以内の保険料については、支払い時に一括して損金に算入することが認められます。(法基通2-2-14)
なお、保険の対象が賃借建物や役員・使用人の建物となっている場合には、保険料の取扱いは次のようになります。

保険の対象が賃借建物の場合(法基通9-3-10)
会社が賃借している建物(役員または使用人から賃借している建物で役員または使用人に使用させているものを除く)について、保険契約者が会社、被保険者が建物所有者となっている場合には、会社所有建物を対象とする保険と同様の取扱いとなり、積立保険料に相当する部分の金額については、積立金として資産計上し、その他の部分は保険期間の経過に応じて損金に算入することになります。
一方、保険契約者が建物所有者、被保険者が建物所有者となっている場合には、法人の負担した損害保険料は実質的には建物の賃借料の追加払いと考えられるため、積立保険料に相当する部分も含めて保険料の全部を建物の賃借料として取り扱うことになります。


保険の対象が役員・使用人の建物の場合(法基通9-3-11)
役員・使用人の建物について、保険契約者が会社、被保険者が役員・使用人となっている場合には、積立保険料に相当する部分の金額については、積立金として資産計上し、その他の部分は福利厚生費として取り扱うことになります。ただし、その他の部分については、役員または特定の使用人のみを対象としている場合には給与として取り扱うことになります。(所基通36-31の7)
一方、保険契約者が役員・使用人、被保険者が役員・使用人となっている場合には、積立保険料に相当する部分も含めて保険料の全部を給与として取り扱うことになります。

保険事故発生による積立金の処理

積立保険料に相当する部分については、「保険期間の満了又は保険契約の解除もしくは失効の時までは」資産に計上することとされています。
そのため、保険事故が発生した場合には、基本的には資産計上している積立保険料に相当する部分については損金計上し、受取った保険金は益金計上することになります。
ただし、保険事故が発生しても損害保険契約が失効せず、保険金額が自動的に復元するときは、資産計上している積立保険料に相当する部分については損金算入が認められず、受取った保険金の益金計上のみを行うことになります。(法基通9-3-12)
なお、保険金額が自動的に復元する場合については、保険の種類に応じて次のとおりとされています。
●長期総合保険・満期戻長期保険・建物更新保険
1回の保険事故による支払保険金が保険金額の80%以内の場合
●建物更生共済
自然災害による1回の支払共済金が災害時における共済金額の20%未満の場合
●建物更新共済
支払共済金の合計額が共済金額未満の場合
●満期保険
1回の保険事故による支払保険金が保険金額未満の場合

最後に

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