所得分散による節税って簡単にできるの?

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今日は、所得分散による節税手法のうち、単なる所得の付け替えによって節税できるのかについてお伝えしていきます。
所得税は累進課税制度を採用しており、所得が高いほど税率が高くなるため、所得を分散することで節税できるというのは聞いたことがあるけれど、
所得分散って簡単にできるの?単に家賃収入を配偶者の所得とする申告をするだけで所得分散できるの?
この問いに対する答えは、「NO」です。
課税実務においては、「実質所得者課税の原則」が採用されており、実態のない形式的な所得分散は認められておりません。
ただし、実態を伴う所得分散であれば、適法に節税することができます。

◆実質所得者課税の原則とは

所得税法第12条において以下の通り規定されています。
(実質所得者課税の原則)
第十二条 資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、
その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。

この規定に関する裁判例及び裁決例を分析すると、不動産所得の帰属の判断は、まず「収益権基準(誰が収益権を法的実質に有しているか)」に基づき判断し、
収益権がない又は形式的なものと認められる場合は、「所有権基準(誰が不動産の所有権を有しているか)」に基づき判断しているものと考えます。

そして、配偶者や親族に対し収益物件を使用貸借した場合には、その法的実質は、生活保持義務・生活扶助義務の履行といえ、使用借主は収益権を有しないことから、
不動産所得は一次的には所有権者に帰属するものと考えます。

よって、賃貸物件を配偶者に使用貸借することで家賃収入を配偶者の所得として申告しても、実質的な収益権は移転していないため、
不動産所得の帰属はそのままで、所得分散は認められないことになります。

◆実態を伴う所得分散とは

ここからは、実態を伴う所得分散を行い、適法に節税する方法についてお伝えします。

節税手法の代表的なものとして、「家族に給与を支給する」という方法があります。
実際に業務に従事している家族に給与を支給することで所得分散をを行うことができます。
ここでポイントとなるのが、「実際に業務に従事している」ことです。
実際に業務に従事していない家族に対し、形式的にお金を渡しても「給与」としては認められません。
また、個人事業主の場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ事前に提出する必要があります。

家族に給与を支給するとして、実際にいくらの金額にすればいいのか、税務署への届出書はどのように記載し、いつまでに提出しなければならないのか、
節税を適法に行うためには、法的根拠の把握が必要不可欠です。お一人で悩まずに、まずは弊所にご相談ください。

最後に

弊所は、お客様と共に悩み、考え、お客様の成長と発展に貢献できる経営パートナーとしてのサービスをご提供いたします。
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本記事を掲載するにあたって、情報の正確性について細心の注意を払っておりますが、その内容を保証するものではなく、何らの責任を負うものではありません。
必ずしも内容の全部を表現したものではないため、実務における判断を行う際は、必ず専門家にご相談ください。

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